
肌に、時間に、なじんでいくTシャツ。
NagaoDaisuke
上質なTシャツとは何か。
そう訊かれた際、この一着を挙げたい。
使われているのは、毛羽の少ないコンパクト糸。
これを高密度でハイゲージに
編み立てたボーダー天竺は
見た目にもわかる品の良さと
手に取った瞬間のなめらかさが印象的。
滑らかなのに、頼りなさはない。
コシとハリを持った生地感は
輪郭がしっかりしていて
洗濯後も型崩れしにくい。
着始めはきれいすぎるくらい整っているが
数回洗ううちにわずかに空気を含み
“洗いざらし”ならではの自然な表情が現れる。
リブはやや太め、肩幅と袖幅には
しっかりとゆとりがあり
体のラインに依存しない。
風が通り抜けるような涼やかさは
真夏の京都・岡崎でも快適。
ケアも簡単。
通常洗濯で
形を整えて干すだけでいい。
気になる方であれば洗濯ネットを
使用してもらえば良い。
アイロンは必要ない。
むしろ、少しのシワが生む陰影が
このTシャツにはよく似合う。
経年でわずかにトーンダウンしていく色味も
むしろ味わいのひとつ。
新品のときより、数ヶ月後の方が
しっくりくる服というのは、意外と少ない。
主張しないのに、存在感がある。
きれいだけど、きれいすぎない。
日常のなかで、気づけば手に取っている
——そんな信頼が、この服にはある。
これから先の
暑さの湿度すら美しく変えるのが
京都という街の特性だとしたら
このTシャツもまた
真夏の気だるさを軽やかにいなす一着と
言えるかもしれない。
合わせるのは
テーパードの効いたリネンパンツか
色の褪せたジーンズ。
足元はレザーか
もしくは何も履かずに歩きたくなるほどの解放感がある。
“気持ちいい”とは
肌に触れるというより
心に触れるものかもしれない。
この服がそう教えてくれる。
flistfia / Loose Fit Crew Neck-T