晩夏に効く、メリノの魔法。
NagaoDaisuke
「夏にウール?」。
最初にそう思う人も多いはず。

けれども、袖を通した瞬間にその疑念は溶けていく。
このシャツに使われているのは
非常に細かい繊維を持つメリノウール。
それを軽やかなトロピカル織りに
仕立てているから、驚くほど涼しく
そして肌に触れたときの感触は驚くほどなめらかだ。

ウールには、汗を吸い取り
外へと放出する働きがある。
だから湿度の高い夏でもベタつかず
常に快適でいられる。
しかも繊維が細いメリノは
天然素材とは思えないほどやさしく肌に沿う。
さらに強撚の糸で織られたトロピカル生地は
風を抜けるような通気性と
縦にすとんと落ちるドレープ感をもたらす。
軽いのに安っぽさを感じさせないのは
この素材だからこそだ。

しかし、このシャツを特別なものにしているのは
生地だけではない。
縫製にこだわり抜かれたディテールもまた
その魅力を引き上げている。
たとえばシングルニードル。
一本針で丁寧に縫い進めることで
縫い目はフラットに、裏側まで美しく仕上がる。
さらに18〜20針前後という細かい運針は
縫い目そのものを目立たせず
生地の持つ自然な落ち感を損なわない。
縫いの精度が高いほど
余計なシワやパッカリングが出ず
着たときのシルエットまで端正に映るのだ。

一見すると
ただの無地のシャツ。
けれども、素材と仕立ての両面から
磨き込まれた一枚は
袖を通した瞬間に全く違う景色を見せてくれる。
軽さ、涼しさ、そしてどこか凛とした佇まい。
夏にこそウールを選ぶという逆説が
日常のスタイルをさりげなく大人にしてくれる。
PERSONAL MATTRES / Merino Wool Tropical Shirts