「午後3時の、シャツ。」

「午後3時の、シャツ。」

NagaoDaisuke

 

毎朝、服を選ぶという行為には

ちょっとした儀式性がある。

クローゼットの前でじっと考えるというよりも

むしろ、街へ出る前の小さな思索の時間。

 

どこへ行くか、誰に会うか。

天気、気温、気分。

そして、なりたい“誰か”の輪郭を

頭の中でなぞってみる。

ある映画の登場人物だったり

旅先で見かけた誰かだったり

昨日読んだ本の著者だったり。

そうして浮かび上がる「今日の自分像」に

服を重ねていく。

 

そんなふうにして

今朝もまた、一枚のシャツを思い浮かべた。

以前紹介した、あのシャツ。

METHOの、静かな存在感を持つやつだ。

 

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土曜日の午後、岡崎聖護院。

喫茶店jeteのカウンターで

アイスコーヒーを飲みながら

読みかけの本をめくる。

ページをめくる手元に

ふと差し込む柔らかな光。

それを受けて微かに艶めく

黒のコットンブロード。

 

 

METHOのシャツだ。

細番手の糸が織りなす密度の高い生地は

静かな光沢を纏い、肌に優しく馴染む。

身幅には余裕があり

姿勢を変えるたびに空気がゆるやかに抜けていく。

襟元は、セーラーのようでいて

イタリアンカラーのようでもある。

曖昧で、だからこそ自由。

 

 

通りに面した大きな窓の向こうでは

半袖の人々が行き交っている。

ブラックのモデルを羽織り

ホワイトステッチのコントラストで

季節感にささやかなエッジを加える。

ボトムはチャコールのウールスラックス。

足元は、トレッキングサンダルとソックス。

街を歩くための、個人的なドレスコード。

こういう制約を持たせて

休日の服を選ぶのも自身の中では恒例。

 

 

METHOの服には、余白がある。

スタイルの余地とも言えるし

その人の“間”を受け止める器とも言える。

ジェンダーにも、年齢にも、都市にも

季節にも、過剰に適応しすぎない。

だから、長く着られる。いや、着てしまう。

 


 

次のページをめくる前に

シャツの袖をひとつ折り返す。

軽くなった手元と

背中の生地のたわみが、ふいに心地いい。

 

 

そんな土曜の午後が、この服には似合う。

 

METHO / Open Collar Flat Shirts

 

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