今の気分を整える、夏の空間づくり
NagaoDaisuke

今年の梅雨明けは例年以上に早く
気づけば街はすでに真夏の
気配に包まれている。
陽射しは日ごとに鋭さを増し
セミの声が響き出すころ
店の空間も少しずつ「夏仕様」へと整えた。
アパレルのカレンダーでは
7月に入ると秋冬の立ち上がりが始まる。
けれど、気候とのズレは年を追うごとに
大きくなっているように感じる。
35度を超える猛暑の日に
ウールやレザーの服を見ても
正直心は動かない。
だからこそ
今の季節にしか味わえない“気分”を
丁寧にすくい取り
空間に落とし込むことにした。


服は色ごとに整理し
視界に入る情報量を減らして軽やかに。
ブラックのアイテムは壁際に整列させ
白やグレイのアイテムは光の入る側へ。
自然と視線が流れ
歩くテンポもゆるやかになる。

天井から吊るしたグリーンや
無造作に置かれた椅子
古いラグの柄が
空間にささやかな“抜け”を与えてくれる。
真夏の服装はシンプルになる分
アクセサリーや小物の存在感が際立つ。
この季節にこそ楽しめる小さな選択肢を
さりげなく手に取りやすい位置に。

今日から並び始めたヘアオイルも
そのひとつ。涼しげで清潔感があり
それでいて香りが記憶に残る。
そんなものが、夏の装いにしっくりくる。
洋服を選ぶためだけではなく
会話をしたり
ふらりと訪れて時間を過ごしたり。
買い物は、その延長線にある
“お土産”のようなものかもしれない。
長い夏のはじまりに
静かで快適な空間でお待ちしています。