“ギア”から“日常着”へ。
NagaoAtsuko
もともとは軍の作業着。
U.S. ARMYのオーバーパンツは
耐久性と機能性を追求した
いわば「ギア」として生まれた洋服だ。
それを、今の街で着る
“日常着”として再構築する。
そこにあるのは
足し算じゃなくて、引き算の美学。

フラップもカーゴポケットも削ぎ落として
ミニマルに。そうすることで
むしろシルエットや生地の上質さが際立つ
──そんな考え方のもとに仕立てられたのが
このトラウザー。
ゆるやかなルーズシルエットと
自然なドレープ。
素材は尾州・一宮で織られた
2/48の梳毛ウールギャバジン。
しっかりと糸を打ち込み
経糸にわずかな強さをもたせて
美しさとタフさのバランスを整えている。

尾州の整理工場で染めたネイビーは
深く、静か。
どこか“夜の色”を思わせる。
夏でも着られる理由は
この梳毛ウールならではの肌離れと通気性。
日差しの強い昼間にはTシャツとショーツで過ごして
日が落ちるころ
少し肌寒さを感じたタイミングで
このパンツに着替えるのがちょうどいい。

たとえば、祇園白川を抜けて鴨川へ。
川沿いに腰を下ろして風を感じたり
木屋町の奥の方
提灯がぼんやり灯る路地裏の店にふらっと入ったり。
寺町通で待ち合わせをして
レモンサワー一杯だけ飲んで別れる。
そんな何気ない時間に
Tシャツとこのパンツと
レザーのサンダルかスニーカーでちょうどいい。

夏の京都の
夕方以降の空気にしっくり馴染むパンツ。
クラシックな背景と
モダンな解釈。
日常をほんの少し豊かにしてくれる
静かな1本です。
awasa / wool gabardine"day off" trousers