“Tシャツ”の設計図に、サンホーキンの綿を。

“Tシャツ”の設計図に、サンホーキンの綿を。

NagaoDaisuke

 

7月末のマンハッタンは

コンクリートの蓄熱と地下鉄の熱気で

街全体がサウナのよう。

少し歩いただけで

Tシャツの背がしっとりする。

朝はロウアーイーストでバゲットと

フラットホワイト。

午後からはチェルシーで打ち合わせ。

そんな日には

高機能とかドライタッチも良いのだが

1枚の“設計されたTシャツ”の方を頼りにしたい。

 

 

素材は、カリフォルニア州

サンホーキンバレーで

育まれた超長綿。

しかもただの超長綿ではない。

シエラネバダの雪解け水で

丁寧に育てられた希少ロット。

スーピマやギザにも匹敵するレベルの原綿を

時間をかけて甘撚りで紡績。

だから、生地には独特の“ヌメリ”と

“コシ”が共存している。

 

 

このTシャツには、その上質な綿を

引き揃え天竺に仕立てた生地が使われている。

表情はシンプルなプレーンジャージーながら

触れれば一瞬でわかる。ラグジュアリーなツヤと

シャリ感を抑えたなめらかな肌当たり。

これは単なるベーシックではない

上質をミニマルに削ぎ落としたプロダクトだ。

 

 

構造もまた

パターンメイキングにこだわった仕様。

脇に縫い目を設けず

背面のセンターシームでのみ

接ぎを取ることで

シームレスなドレープが生まれる。

吊り編み機では再現できない

機能と造形のバランス感覚。

 


袖も同様で

下側に縫製ラインを排除し

アウター側に切り替えを設けた

カーブスリーブ仕様。

視覚的にもすっきりしていて

モダンなフォルムと可動性の

両立を実現している。

 

裏側には

フライス(リブ)素材を配置して

身体の動きに柔らかく追従。

襟元はコンパクトなクルーネックベースに

浅めのスリット開き+ボタンループをセット。

これがちょっとしたギミックで

着る人のセンスが見える。

シンプルだけど無難じゃない

“行間”のあるディテール。

 

黒のバギースラックスにローファー

もしくはベージュの2プリーツショーツに

レザーサンダル。

どちらにも

このTシャツは抜群にハマる。

オーバーサイズではないけれど

肩線をやや後ろにずらした

リラックスフィットで

全体の空気感も◎。

出張のワードローブには

こういう1枚が必要なんだと改めて思った。

 

汗をかいてもベタつかず

着用後のヨレも気にならない。

それでいて

ミッドタウンのオフィスでも

レストランでも

きちんと通用する

リアル・ラグジュアリーなTシャツ。

“無地のTと侮ることなかれ。

そこには綿花の背景から構造設計まで

全方位で語れるだけの理由がある。

 

 

 

 

やっぱり

Tシャツも“プロダクト”としての

精度が問われる時代。

この一枚、出張に持ってきて

よかったと思える――

真夏のニューヨークで

そんなふうに感じさせてくれる

Tシャツって

案外少ないだろうなと

夏のN.Yに想いを馳せてみる。

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