静かな夏に似合う服──
NagaoDaisuke
夏の京都は、音がこもる。
湿気が空気を包み込み
蝉の声も、路地を渡る風も
どこか柔らかく聞こえる。
そんな空気の中で過ごす一日は
できるだけ静かに
丁寧に身の回りを整えたくなる。

たとえば午前中は
浄土寺にある知人の工房へ。
土に触れるときは
あまり服を気にしていられないけれど
このシャツなら安心感がある。
リップストップコットンの
白い半袖シャツ。

ミリタリー由来のこの素材は
格子状に糸が組まれていて
見た目に表情がある。
ハリがあり、耐久性も申し分ない。
それでいて
肩のラインが自然に落ちる
ラグランスリーブのつくりや
巻き縫いされた脇線など
細部には“育つ”要素がしっかりある。
午後は祇園の裏路地にある
ギャラリーを巡って
静かな展示をひとつ。
少し汗ばむ時間帯
風を孕んでくれるこの白シャツは
快適そのものだ。
インナーのTシャツに軽く羽織るだけでもいい。
白という色は
湿度の高い街に映える。
蒸し暑ささえも
清潔に見せてくれる。

そして夕方、木屋町のバーで
ひとりジャズのレコードに耳を傾ける。
70年代CTIのメロウな音色に
グラス越しの氷が重なって
なんともいい時間。
服に主張がありすぎると
邪魔になるような場所でも
このシャツは不思議と馴染む。
静かで、控えめで
それでいて“わかってる”感じがある。
Tシャツだけじゃ物足りない
でも気張るのも違う。
そんな大人の夏の一枚として
このシャツは実にちょうどいい。
風景にも、音にも、手仕事にも
フィットする服。

本日の
#3分LOOKING