都市で休むためのトラウザー
NagaoDaisuke平日の街は
どうしても効率と機能が優先される。
だからこそ休日くらいは
少しだけ速度を落として
服の質感や空気感を楽しみたい。

このトラウザーは
そんな都市生活者の「余白の時間」に
ちょうどいい一本だ。

デザインの出発点は
U.S. ARMYのオーバーパンツ。
本来なら主張の強いフラップや
大型ポケットを持つアイテムだが
それらを潔く削ぎ落とし
現代的なバランスへと再構築している。
結果として残ったのは
ルーズでいて品のあるシルエットと
生地の表情をまっすぐ楽しめる佇まい。
ミリタリーを語り過ぎないところが
むしろ都会的だ。

生地は、愛知県一宮市で織られた
2/48のウールギャバジン。
昔ながらのレシピをベースに
経糸勝ちで織ることで
適度なハリと安定感を備えている。
ウールでありながら、構えすぎない。
コートを脱ぎ始める梅春の時期
カットソーや薄手のニットと合わせても
シルエットが崩れないのは
この素材あってこそ。

たとえば休日の昼下がり。
白のロングスリーブTに
このトラウザー。
足元はレザーシューズではなく
少し履き込んだスニーカーでもいい。
肌寒さが残る日は、同素材のブルゾンを羽織れば
それだけで街に馴染むセットアップが完成する。
きちんと見えるのに
気持ちはあくまでリラックス。
これが“大人の休日服”の理想形だと思う。

Grayカラーはトップ糸ならではの
奥行きがあり、光の入り方で表情が変わる。
単色なのに退屈しない。
無地なのに、ちゃんと語れる。
派手さはないが、ワードローブの中で
静かに出番が増えていく
そんなタイプの一本。

都市で暮らし、都市で休む。
このトラウザーは
そのどちらにも無理なく寄り添ってくれる。
「今日は何もしないけど、適当には穿きたくない」
そんな休日に、自然と手が伸びる存在である。