秋の京都を纏う、光と影のシャツ
NagaoDaisuke

秋の京都を歩く。
夕暮れどき
鴨川沿いに射し込む柔らかな光が
街の輪郭を淡く染め
やがて夜のとばりが降りると
格子戸の奥に灯る行燈の明かりが
ひときわ鮮やかに浮かび上がる。
その光と影の移ろいを
布に閉じ込めた様な一枚。

選んだのはブロードコットン。
高級ドレスシャツに用いられる生地だが
この一枚は単なるドレスシャツには収まらない。
100番手の強撚双糸を高密度に織り上げることで
しなやかさとハリ
そして控えめで上質な光沢を持ち合わせる。
平織という基本的な織り方が
地合いの確かさと摩擦への強さを約束し
強撚糸のシャリ感は
夜風のように涼やかで軽やかな肌触りを生む。

ディテールもまた、京都の夜を思わせる。
襟元には気品を宿す二つボタンの
ドゥエボットカラー。

ボタンには重厚な水牛をあしらい
陰影を帯びた艶を添える。


背中や肩に寄せられたギャザーは
町家の奥に差し込む光と影のように
奥行きを静かに描いている。
結果として生まれたのは
着物のような粋さと
ふとした仕草に漂う色気を備えたシャツ。

秋の夕暮れから夜の京都を散歩するように
しなやかで、凛としていて
それでいて肩の力を抜いて羽織れる。
そんな佇まいの一着。
TOKIARI / TOBARI GATHERED SHIRT