初夏の京都と、透かし編みの帽子。

初夏の京都と、透かし編みの帽子。

NagaoDaisuke


鴨川沿いにそよぐ風

ほんの少し湿り気を帯びてきたら

いよいよ本格的な夏の入り口。

そんな季節の京都では

肌をなでる風や差し込む光を

いかに味方につけるかが装いの鍵になる。

 

手に取ったのは

ノーブランドのDEADSTOCKストローハット。

丁寧に編まれた自然素材

たぶんラフィアかストロー。

大きめのブリムと

ふわりと丸みを帯びたクラウン。

どこか素朴で、それでいて洗練された佇まい。

 

 

透かし編みの繊細な模様は

実はとても実用的。

通気性が良く、頭に熱がこもらない。

けれど実用性だけじゃない。

木漏れ日のように光を透かし

顔まわりに美しい影を落とす。

それはまるで、白川の柳の葉が

水面に落とす揺らぎのような美しさ。

 

 

ナチュラルな素材感に惹かれて

リネンの白ワンピースを合わせてみる。

足元はエスパドリーユ

耳元にはウッドのピアス。



かごバッグに水出し煎茶のボトルを入れて

向かうのは東山の小さなギャラリー。

そんなふうに、この帽子は

旅の気分をさりげなく引き上げてくれる。

 

もちろん、街の中でも頼れる存在。

生成りのワイドパンツに黒のキャミソール

リネンの羽織を重ねれば

都会的な抜け感と京都らしい静けさが共存する。

カフェでひと息ついていると

「その帽子、素敵ですね」と声をかけられる。

主張しすぎず、それでいて記憶に残る。

そんな名脇役。

 

もしかしたら

昔の女優が避暑地で

かぶっていたような帽子なのかもしれない。

あるいは、蚤の市で誰かが見つけて

ずっと大切にしていたものかもしれない。

名のない帽子には

そんな想像を掻き立てる余白がある。

 

日差しが強くなる初夏の京都で

軽やかに、しなやかに。

このストローハットは

ただの日除けでは終わらない

物語を携えたアクセサリーと思う。

 

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