「もう一度、服を探す旅へ。」

「もう一度、服を探す旅へ。」

NagaoDaisuke

10年以上前に買った服を

最近また着ている。

それは「エンジニアード ガーメンツ」。

デザイナーは鈴木大器さん。

 

彼がブランドを離れ

そしてまた新たな名で

服づくりを始めたと知って

急に懐かしくなった。

クローゼットの奥に眠っていた

服たちを、ひとつずつ引っぱり出してみた。

 

改めて袖を通すと

あのブランドの魅力を思い出す。

クラシックアメリカを軸に

メカニカルでギミックの効いたディテール。

どこか少年の“工作心”を

くすぐるような服。

重ねることで形が変わる。

まるでプラモデルを組み立てるような感覚。

昭和世代の男には

たまらない。

 

今の服は完成度が高い。

素材も縫製も

どれをとっても非の打ちどころがない。

だけど、時々感じる。

「何かが違う」と。

 

良い服=高い服、ではない。

限定生産だから良い、でもない。

服は、値段や希少性じゃなく

**“思想”**で選びたい。

 

デザイナーの思考や好きなものが

服に滲んでいるか。

そして自分がそこに共感できるか。

それが“良い服”を決める

一番の基準だと思う。

 

50を過ぎて

ふと考える。


自分が着たい服と

店で提案すべき服。

それがだんだん

別の方向を向いてきた気がする。

 

商売は、売れてなんぼ。

売れれば正義。

でもそのルールの中では

デザイナーの思考も、美意識も

後付けで消費されていく。

 

そんな時代の息苦しさを

感じるようになったのは

自分が“服で生きてきた人間”

だからかもしれない。

 

着たい服。

提案したいスタイル。

そして、売れる服。

その三つが交わらないこの時代で

それでもまだ服を信じたいと思う。

正直なところ

もうここ数年諦めてしまっていた自分が

存在する。

 

 

もう一度

探してみようと思う。

自分が

これからの年齢で本当に着たい服を。

作り手の“偏愛”が感じられる服を。

 

何が「良い服」なのか——

答えはまだ見つからないけれど

探すこと自体が

服好きの人生なのかもしれない。

 

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