特集:素材が語る服

特集:素材が語る服

NagaoDaisuke

「経年変化前提」

──このポプリン、ただ者ではない。

 

新品なのに、どこか懐かしい。

まるで、10年着込んだような

質感をまとった

ロングレングスのプルオーバーシャツ。


素材は、古着のような膨らみと荒さを

追い求めて特別に加工されたコットンポプリン。

さらに、タンブラー乾燥によって

生地に独特のうねりと空気を含んだ

表情が加わる。

手に取った瞬間、その“風合いの奥行き”に

驚かされる。

ルーズなのに、計算され尽くしている。

 

一見するとシンプル。

だが、脇下に大きく取られた

ガセット(脇下マチ)は

着る者に自由を与える。

腕を振り、風を受けるたびに

布がしなやかに追従するのが心地いい。

全体はスクエアなシルエット。

だが、着てみると不思議な

“おさまりの良さ”がある。

これは偶然ではなく、緻密な設計の結果。

 

男が着るか、女が着るかで、服の顔が変わる。

 

ユニセックスなデザインが

このシャツのもう一つの魅力。

男性が着れば、ラフで無骨なアートワーカー風に。

例えば、ワイドスラックスにスニーカー

首元には淡いシルクスカーフ。

女性が着れば

ミニマルなワンピースのようにもなる。

足元はバレエシューズでも

ハンサムなレザーシューズでもいい。

レイヤードで

フーディやベストを差し込めばストリートの香りも出せる。

 

この服は、完成されていない。

 

roundabout / L/S Stand Collar Pullover

 

買った瞬間がピークじゃない。

このシャツは、着る人の時間と共に


さらに育つ素材


シワ、あたり、褪せ。

それすらもデザインとして受け入れてくれる。

今また、服に必要なのは

「経年変化を前提とした美意識」

なのかもしれない。

返回博客

发表评论

请注意,评论必须在发布之前获得批准。